Story
ひとりの女児が女子刑務所で誕生する。
母・恵貞は、娘・芸熙を守りたいという強い思いを胸に、鉄格子に囲まれた世界で子育てを始める。彼女のそばには、陽気な元詐欺師の阿珮、情に厚い阿蘭、そしてかつて舞台歌手で、母のような存在でもある玉英がいる。深い傷と後悔を抱える彼女たちも、芸熙の存在によって心に小さな光を宿していく。
だが、刑務所は決して優しい場所ではない。厳格な方看守長は「赤ん坊は養子に出すべきだ」と冷徹に迫り、母子の時間に影を落とす。一方、穏やかな陳刑務官は恵貞の不安を静かに受け止め、芸熙の世話を手伝うささやかな支えとなる。
やがて芸熙が先天性の眼の病を抱えていることが判明し、適切な治療のためには養子に出さねばならない現実が突きつけられる。母としての愛情と娘の未来の狭間で揺れる恵貞は、“最後に美しい記憶を残したい”と合唱団の結成を決意する。
最初は冷ややかな反応が多く、練習は思うように進まない。歌に慣れていない者、過去のトラウマで声を出せない者、他人と歩調を合わせることに抵抗を抱く者──それぞれの事情がハーモニーを阻む壁となる。
それでも、病を押してユーインが指揮を引き受け、仲間たちが少しずつ殻を破っていくうちに、家族のような絆が芽生え、合唱団は刑務所全体を巻き込む大きな存在へと成長していく。迎えた音楽祭の本番、祈りのような歌声は鉄格子を越え、愛する人々へ静かに届く。
そして恵貞は、“娘の行く先にそっと寄り添うための決断”を静かに抱きしめていた。




